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学会発表「タンポポT-1エキスはマウス生殖ホルモン受容体の発現量を増加させる」1

たんぽぽ茶ショウキT-1について 2014年11月04日

INTERNATIONAL JOURNAL OF MOLECULAR MEDICINE 20: 287-292, 2007

 

タンポポT-1エキスはマウス生殖ホルモン受容体の発現量を増加させる

 

XU ZHI、KEN-ICHI HONDA、KOJI OZAKI、TAKUYA MISUGI、TOSHIYUKI SUMI、及びOSAMU ISHIKO

 

大阪市立大学大学院医学研究科 産科婦人科学教室

545-8585大阪市阿倍野区旭町1-4-3

 

2007年4月10日受付;2007年5月21日受理

 

抄録

生殖ホルモンは様々な組織に発現する受容体を介して作用する。今回の論文では、マウスにタンポポT-1エキス(DT-1E)を6週間経口投与した後に、脂肪組織及び生殖器官におけるエストロゲン受容体(ERα及びERß)、プロゲステロン受容体(PR)、及び卵胞刺激ホルモン受容体(FSHR)の発現について調べた。リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応による定量分析を行った結果、DT-1Eを含む餌で飼育したマウスの脂肪組織では、通常の餌で飼育した対照群のマウスよりもERα及びERß mRNAの発現量が高かった。さらに、ゴナドトロピンの注射後にDT-1E群では対照群よりも子宮のERα、ERß、及びPR mRNAならびに卵巣のFSHR mRNAの発現量が高かった。免疫組織化学分析の結果からも、DT-1E群では上記の受容体の発現レベルが上昇していることが示された。今回の研究から、DT-1Eの経口摂取によってマウスにおけるERα、ERß、PR、及びFSHRの発現レベルが上昇することが示され、生殖ホルモン関連障害の臨床治療にDT-1Eを利用できる可能性が示唆された。

 

キーワード:エストロゲン受容体α、エストロゲン受容体ß、プロゲステロン受容体、卵胞刺激ホルモン受容体、タンポポT-1エキス、マウス

 

緒言

エストロゲン、プロゲステロン、及び卵胞刺激ホルモンなどの生殖ホルモンは様々な生化学的及び生理学的過程と相関していることがわかっており、更年期症状、肥満、数種類の癌といった女性の多様な疾患にも関与している(1-3)。ホルモン量の調節はホルモンに関連した障害を治療する通常の方法とされてきた。例として、ホルモン補充療法(HRT)は更年期症状の軽減に有効だが、ホルモンの投与量に依存した副作用のリスクがある(4,5)。また、ホルモンは対応する受容体を介して作用するため(6,7)、受容体の発現について調査すればホルモンが誘発する病態生理学的状態の解明が進み、現在行われているホルモン療法に代わるより便利な又はよりリスクの小さい治療法の開発にも役立つと考えられる。

この点に関して、漢方薬は近年ますます普及しており、治療効果が期待され副作用も少ないことから広く使用されている。詳しい作用機序は未だ不明であるが、漢方薬に由来した多くの治療法が女性の生殖ホルモンに関連した障害の治療に用いられている(8-10)。我々は、これらの漢方薬の治療効果が生殖ホルモンの量またはその受容体の発現に対する影響と関連するという仮説を立てた。

今回の研究では市販漢方薬のタンポポT-1エキス(DT-1E)を利用し、雌マウスにDT-1Eを含む飼料を6週間摂取させた後に血清中のホルモン濃度の変動、脂肪組織、子宮、及び卵巣におけるエストロゲン受容体(ERα及びERß)、プロゲステロン受容体(PR)、及び卵胞刺激ホルモン(FSHR)の発現、ならびに排卵への影響について検討した。

 

材料及び方法

動物及び飼料

すべての条件及び動物の取り扱いは大阪市立大学動物実験に従い、施設内動物実験委員会から本研究の承認を得た。4週齢の雌C3H/HeNCrlCrljマウス36匹を日本チャールズ・リバー株式会社(横浜)から購入した。マウスを4群(各群n = 9)に無作為に割り付けた後、ケージに入れ、一定の気温(23 ± 1˚C)及び湿度(55%)に保ち、12時間/12時間の明暗サイクルで、個別に飼育した。6週間の飼育期間を通じてマウスに飼料及び飲用水を自由摂取させた。2群の対照群マウスには植物性エストロゲンを含まない通常の飼料(NIH-07PLD、オリエンタル酵母株式会社、東京、日本)を与え、2群のDT-1E群マウスにはDT-1E(ウェルネス・アドバンス研究所、大阪、日本)を0.03%(w/w)含む飼料を与えた。DT-1Eはタンポポエキス87%、ハトムギ5%、蔗糖5%、及び蟻エキス3%から成る。

 

対照群及びDT-1E群それぞれ2群のうち1群のマウスに対し、10週齢時にゴナドトロピンを注射した。ゴナドトロピンの注射では、滅菌生理食塩水0.1 mLに希釈した妊馬血清(PMS、G4527;Sigma、セントルイス、ミズーリ州、米国)5 IUを各マウスに単回腹腔内投与した。46時間後、滅菌水0.1 mlに希釈したヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG、C8554;Sigma)5 IUを単回腹腔内投与した。hCGの投与から12時間後、ゴナドトロピンを投与していない他の2群を含む全マウスをエーテル吸入により安楽死させ、マウスを解剖して子宮傍脂肪組織、子宮、及び卵巣を採取した。

 

血清中ホルモン濃度の測定

マウスの解剖中に腹大動脈から血液サンプルを採取し、Diagnostic Products Corporation(ロサンゼルス、カルフォルニア州、米国)から購入したキットを用いて放射免疫測定法(RIA)によって血清中エストラジオール濃度を測定した。検出限界は1.4 pg/mL、測定内及び測定間の変動係数はそれぞれ1.75%及び2.58%であった。

 

RNA抽出、逆転写、及び定量的リアルタイムPCR

RNeasy Protect miniキット(Qiagen、バレンシア、カリフォルニア州、米国)を用いて、使用説明書に従ってマウスの脂肪組織、子宮、及び卵巣から総RNAを抽出した。抽出した総RNAは以降の処理を行うまで-80˚Cで保存した。

2ステップ定量的リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(リアルタイムRT-PCR)を行ってmRNA量を測定した。TaqMan逆転写試薬(Applied Biosystems、フォスターシティ、カリフォルニア州、米国)を用いて総RNAサンプルをcDNAに逆転写した。TaqMan Gold RT-PCRのプロトコールに従って調製した逆転写酵素反応混合液に各総RNAサンプル1 µgを加え、最終容量を100 µLとした。逆転写の反応温度及び時間は25˚Cを10分間、37˚Cを60分間、95˚Cを10分間とした。

TaqMan定量的リアルタイムPCRは、使用説明書に従い反応混合液50 µL中でABI PRISM 7700 Sequence Detector System(Applied Biosystems)を用いて実施した。ERα(Mm00433153_m1)、ERß(Mm00599821_m1)、PR(Mm00435628_m1)、及びFSHR(Mm00442819_m1)をコードするcDNAの反応には、6‐カルボキシフルオレセイン標識3’‐マイナーグルーブバインダーを付加した適切なプライマー及びプローブを使用した(Applied Biosystems)。オリゴヌクレオチド配列は公表されていないが、製造業者によるバリデーションを受けた。

mRNA転写物の定量化には相対的Cτ(ΔΔCτ)法を用いた。目的遺伝子のmRNA量は、内部標準遺伝子である18S rRNA(Applied Biosystems)で標準化し、キャリブレータに対する相対的な値として、2-ΔΔCTの式を評価することにより測定した(11-13)

 

ここでΔΔCT = ΔCT,s – ΔCT,cbとし、CTはABI PRISM 7700 Sequence Detectorソフトウェアがパラメータとして算出する数値であり、反応系中の当初のmRNA量に対して負の相関を示す。ΔCTは目的遺伝子と内部標準遺伝子の立ち上がりサイクル数の差であり、ΔCT,sはサンプルのΔCT値、ΔCT,cbはキャリブレータ(対照群の中央値とする)のΔCT値を示す。

 

脂肪組織及び生殖器官の免疫組織化学染色

ERα、ERß、PR、及びFSHRに対する免疫組織化学染色では、脂肪組織、子宮、及び卵巣のパラフィン包埋切片(厚さ4 µm)の脱パラフィン処理を行い、次にスライドガラスをクエン酸緩衝液(pH 6.0)に浸してオートクレーブ内で15分間110˚Cに熱することによって抗原賦活化処理を行った。組織切片をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄した後、5%ヤギ血清、0.05% Tween-20を含むPBS中で10分間ブロッキング処理を行い、次にスライドガラスに抗マウスERα(Santa Cruz Biotechnology, Inc.、サンタクルーズ、カリフォルニア州、米国)、抗マウスERß(AnaSpec、サンノゼ、カリフォルニア州、米国)、抗マウスPR(Santa Cruz Biotechnology, Inc.)、又は抗マウスFSHR(Santa Cruz Biotechnology, Inc.)ウサギポリクローナルIgGを加えて4˚Cで終夜インキュベートした。組織切片を0.05% Tween-20を含むPBSで洗浄した後、ERα及びERßに対してはローダミン結合抗ウサギIgGロバ抗体(Chemicon International, Inc.、テメキュラ、カリフォルニア州、米国)、PR及びFSHRに対してはフルオレセインイソチオシアネート(FITC)結合抗ウサギIgGヤギ抗体(SouthernBiotech、バーミングハム、アラバマ州、米国)をそれぞれ加えて室温で1時間インキュベートした。その後再び洗浄し、10% PBSを含むグリセリン溶液を加えてプレパラートを作成した。免疫蛍光像を蛍光顕微鏡(BX50;オリンパス株式会社、東京、日本)下で観察した。ローダミンの赤色の検出には波長520~550 nmの励起フィルター及び>580 nmの蛍光フィルター、FITCの緑色の検出には470~490 nmの励起フィルター及び520~550 nmの蛍光フィルターをそれぞれ使用した。

 

卵子の計数

マウスにhCG注射して12時間後に切除した卵管から卵子を収集し、実態顕微鏡(SZX-ZB12;オリンパス株式会社)を用いて卵子数を数えた。

 

統計解析

群間差の比較には、StatViewソフトウェアバージョン5.0(SAS Institute Inc.、ケアリー、ノースカロライナ州、米国)を用いてノンパラメトリックなマン‐ホイットニーU検定を行った。P < 0.05であれば統計学的に有意な結果とみなした。データ解析の結果は図中に箱ひげ図で表し、データの50%を箱の内側の領域で示した。各箱の中の線は中央値を示し、各箱の外側の線は90%信頼区間を示す。

 

結果

血清中エストラジオール濃度

マウス血清中のエストラジオール濃度を調べたところ、ゴナドトロピン注射の有無にかかわらず、DT-1E群と対照群の間に有意差は認められなかった。

 

(4ページ目;段落途中から)

ゴナドトロピンを注射しなかったマウスのエストラジオール濃度は、対照群で9.3 ± 1.8 pg/mL、DT-1E群で10.8 ± 2.5 pg/mLであった。ゴナドトロピンを注射されたマウスのエストラジオール濃度は、対照群で12.3 ± 6.5 pg/mL、DT-1E群で12.4 ± 4.4 pg/mLであった。

 

脂肪組織及び子宮におけるERα及びERß mRNA発現量の定量分析

通常の飼料で飼育し、ゴナドトロピンを注射しなかったマウスの脂肪組織及び子宮におけるERα及びERß mRNA量をTaqManリアルタイムRT-PCRによって測定した。TaqMan市販試薬の主要部分を用いたRT-PCRの効率は一貫していることから、マウスの脂肪組織(図1A)及び子宮(図1B)とも、ERα mRNAの発現量はERß よりはるかに高いことが示された。

 

脂肪組織におけるERα及びERßの発現

ゴナドトロピンを注射しなかったマウスの脂肪組織におけるERα及びERß mRNA量をリアルタイムRT-PCRによってDT-1E群と対照群の間で比較したところ、両mRNA量ともDT-1E群の方が対照群よりも有意に高かった(P < 0.05)(図2)。エストロゲン受容体(ER)に対する抗体を用いて脂肪細胞の免疫組織化学染色を行ったところ、DT-1E群(図5B及びD)の蛍光シグナルの方が対照群(図5A及びC)よりも顕著に強かった。

 

子宮におけるERα及びERß、及びPRの発現

ゴナドトロピンを注射しなかったマウスの子宮では、DT-1E群と対照群の間でERα、ERß、及びPR mRNA発現量に有意差は認められなかった。しかし、ゴナドトロピンを注射されたマウスの子宮では、ERα、ERß、及びPR mRNA発現量はDT-1E群の方が対照群よりも有意に高かった(P < 0.05)(図3)。ERα、ERß、及びPRに対する抗体を用いてゴナドトロピンを注射されたマウスの子宮上皮細胞及び子宮間質細胞の免疫組織化学染色を行ったところ、DT-1E群(図6B、D、及びF)の方が対照群(図6A、C、及びE)よりも顕著に強いシグナルを示した。

 

各群の卵巣におけるFSHR発現量の比較

ゴナドトロピンを注射しなかったマウスの卵巣では、DT-1E群と対照群の間でFSHR mRNA発現量に有意差は認められなかった。

 

しかし、ゴナドトロピンを注射されたマウスの卵巣では、FSHR mRNA発現量はDT-1E群の方が対照群よりも有意に高かった(P < 0.01)(図4)。FSHRに対する抗体を用いて卵巣顆粒膜細胞の免疫組織化学染色を行ったところ、DT-1E群(図7B)の方が対照群(図7A)よりも顕著に強いシグナルを示した。

 

ゴナドトロピンを注射されたマウスにおける卵子数

ゴナドトロピンを注射されたマウスの解剖中に卵管を採取し、卵子数を計数した。その結果、DT-1E群(中央値7)の方が対照群(中央値5)よりも卵子数が多かった(P < 0.05)。

 

 [G1]内容から原文”ERα”は誤記と判断し、左記訳といたしました。ご確認をお願いいたします。

 

 

2へつづく

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