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学会発表「タンポポT-1エキスはマウス生殖ホルモン受容体の発現量を増加させる」2

たんぽぽ茶ショウキT-1について 2014年11月25日

考察

ホルモン(エストラジオール)量、受容体(ERα、ERß、PR、及びFSHR)発現量、及びゴナドトロピン注射後の排卵生殖機能の変化など、マウスにおけるDT-1Eの作用を調べるため、我々はERが発現する組織のうち子宮及び卵巣を標的生殖器官、脂肪組織を非生殖組織に選んで実験を行った。

 

マウス血清中のエストラジオール濃度をRIA法で調べたところ、ゴナドトロピン注射後でさえDT-1E群と対照群の間に有意差は認められなかった。この結果から、血行中のホルモン濃度の変化を介してDT-1Eが作用する可能性は低いことが示唆される。

 

脂肪組織では、ERα及びERßの発現量はDT-1E群の方が対照群よりも有意に高かった。エストロゲンなどの生殖ホルモンは脂肪組織の代謝に重要な役割を担っており(14)、マウスではERαが脂肪分解に関与することが示されている(15,16)。マウスの体重及び摂餌量に群間差は認められなかったが(データ省略)、脂肪組織の代謝をさらに研究する必要がある。

 

ゴナドトロピンを注射しなかったマウスの子宮では、DT-1E群と対照群の間でERα、ERß、及びPRの発現量に有意差は認められなかった。しかし、ゴナドトロピンを注射されたマウスの子宮では、ERα、ERß、及びPR発現量はDT-1E群の方が対照群よりも高かった。これらの結果から、DT-1Eの経口摂取だけでは子宮におけるER及びPR mRNAの発現量は増加しなかったが、子宮の応答能が亢進した。

 

上記の結果以外に、我々はゴナドトロピンを注射した後に各群の卵子数を比較した。DT-1E群の方が対照群より卵子数が多かったが、この結果も生殖器官に対するDT-1Eの機能的作用を示唆している。この作用にはFSHR発現量を増加させる作用も含まれ、今回のFSHR発現に関する結果からもDT-1Eによって卵巣の応答能が亢進することが示唆される。ただし、子宮の場合と同様に、DT-1Eの経口摂取だけではFSHR発現量は増加しなかった。

 

現在では多くの市販漢方薬を医療及び臨床治療に利用できるが、ホルモン受容体の発現量を増加させ得る漢方薬の報告はまれである。今回の研究から、DT-1Eの作用によってマウス脂肪組織、子宮、及び卵巣における生殖ホルモン受容体の発現量が増加することが明らかにされ、臨床応用の大きな可能性が示唆された。周知のとおり、更年期症状を軽減することを目的として20年前にホルモン補充療法(HRT)が導入された(17)

 

しかし、被験者ベースの試験からHRTに関連する乳癌、子宮内膜癌、及び冠動脈疾患のリスクが明らかになったため(18-20)、現在HRTは議論の的となり、エストロゲンの用量は極力抑えるよう推奨されている(4,19,21)。今回の研究から、DT-1Eは一連の生殖ホルモン受容体の発現量を増加させることが示唆された。その結果、ホルモンに対する応答能及び感受性が亢進する可能性が考えられるため、DT-1Eを用いればHRTにおけるエストロゲン用量を低減でき、上記のリスクも低下すると思われる。さらに、ゴナドトロピンの注射によって排卵機能も向上したため、DT-1Eは排卵不全の女性にも有用である可能性がある。

 

結論として、今回の研究から、DT-1Eの経口摂取によってマウスにおけるERα、ERß、PR、及びFSHRの発現レベルが上昇することが示され、生殖ホルモン関連障害の治療選択肢としてDT-1Eを利用できる可能性が示唆された。

 エビデンス3 エビデンス4

 

図1 通常の飼料を与えて飼育したマウス(ゴナドトロピンの注射なし)の脂肪組織及び子宮におけるERα及びERß mRNAの定量化。実線は閾値を示し、x軸は立ち上がりサイクル数(CT)を示す。CTはPCR産物が閾値に達した増幅サイクル数である。ERαのCT値はERßより小さいことから、脂肪組織(A)及び子宮(B)の両者でERαのmRNA量はERßより多いことが示された。右側の箱ひげ図は、ΔΔCT法によって測定されたERα及びERß mRNA量を示す。

 

エビデンス5

 

図2 DT-1E群及び対照群のマウス脂肪組織におけるERα及びERß mRNAの発現量(ゴナドトロピンの注射なし)。TaqManリアルタイムRT-PCR法による定量分析から、DT-1Eを6週間経口摂取させたマウス脂肪組織におけるERα(A)及びERß(B)のmRNA発現量は、両者ともDT-1E群の方が対照群よりも有意に高いことが示された(*P < 0.05)。数値は対照群に対するDT-1E群のmRNA量の比を示す。

 

エビデンス6

 

図3 ゴナドトロピン注射後のマウス子宮におけるERα、ERß、及びPR mRNAの発現量。TaqManリアルタイムRT-PCR法による定量分析から、ゴナドトロピン注射後のERα(A)、ERß(B)、及びPR(C)のmRNA発現量はDT-1E群の方が対照群よりも有意に高いことが示された(*P < 0.05)。数値は対照群に対するDT-1E群のmRNA量の比を示す。

 

エビデンス7

図4 ゴナドトロピン注射後のマウス卵巣におけるFSHR mRNAの発現量。TaqManリアルタイムRT-PCR法による定量分析から、ゴナドトロピン注射後のFSHR mRNA発現量はDT-1E群の方が対照群よりも有意に高いことが示された(*P < 0.01)。数値は対照群に対するDT-1E群のmRNA量の比を示す。

 

エビデンス8

 

図5 ERに対する抗体を用いた脂肪細胞の免疫蛍光組織化学染色。対照群(A、C)及びDT-1E群(B、D)のマウスから採取した脂肪組織を抗ERα(A、B)又は抗ERß(C、D)ウサギIgGと反応させ、ローダミン結合抗ウサギIgG抗体を用いて染色した。ERα又はERßのいずれの場合も、脂肪細胞の蛍光シグナルはDT-1E群の方が対照群よりも顕著に強かった。拡大倍率は400倍。

 

エビデンス9

 

 

図6 ER及びPRに対する抗体を用いた子宮の免疫蛍光組織化学染色。対照群(A、C及びE)及びDT-1E群(B、D、及びF)のマウスから採取した子宮を抗ERα(A、B)、抗ERß(C、D)、又は抗PR(E、F)ウサギIgGと反応させ、ローダミン結合(ERα及びERß)又はFITC結合(PR)抗ウサギIgG抗体を用いて染色した。ERα、ER又はPRのいずれの場合も、蛍光シグナルはDT-1E群の方が対照群よりも顕著に強かった。拡大倍率は400倍。

 

エビデンス10

 

図7 FSHRに対する抗体を用いた卵巣の免疫蛍光組織化学染色。対照群(A)及びDT-1E群(B)のマウスから採取した卵巣を抗FSHRウサギIgGと反応させ、FITC結合抗ウサギIgG抗体を用いて染色した。顆粒膜細胞のFSHRに対する蛍光シグナルはDT-1E群の方が対照群よりも顕著に強かった。拡大倍率は400倍。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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